タリヘーレ三重奏団 演奏会 ~ テオドール・デュボワの芸術 ~



「聴きに行く」と言ってくれていた人々から、続々と「コロナになったのでいけない」という連絡が入ってきて、コロナの感染再拡大が迫ってきていることがひしひしと感じられました。幸いにも、演奏者はだれも感染しなかったので、予定通りに演奏会を実施することができました。オール・デュボワ・プログラムというマニアックな演奏会だったにも拘わらず、80名を越える方々にお越しいただきました。ありがとうございました。

テオドール・デュボワという作曲家を初めて知ったのは、フランスからやってきたピアノ四重奏団(名前は忘れました)が、その演奏曲目の一つに、デュボワのピアノ四重奏曲を挙げていたことからでした。チラシだけの知識でしたが、どんな曲だろうと興味を持ち、youtube で演奏をさがしたけれど、当時は一部しか聴くことができませんでした。そこで、ネットで譜面を探して、自分たちでやってみることにしたわけです。美しく興味深い曲だったので、演奏会で演奏することにしました。それが2014年のことでした。ピアノ三重奏曲があることも知り、やってみたいと思っていたのですが、なかなか手が付けられず、時間が流れました。

しかしここ3年の間に、コロナ禍で自宅にこもっている間に、デュボワについて勉強する機会が出来たので、いろいろと調べてみて、「ラヴェル事件再考―テオドール・デュボワはパリ音楽院院長を解任されたのか」と「アカデミック音楽の復権―再評価されるテオドール・デュボワ」という二つの論考を書きあげてみて、デュボワの曲はもっと演奏会で取り上げられるべきだと感じるようになりました。2024年は、デュボワ没後100年に当たるのですが、その時にオール・デュボワ・プログラムで演奏会をやりたいが、今年はピアノ三重奏曲を1曲だけして、他のフランスの作曲家の曲とあわせて演奏会をしようか、とヴァイオリニストに持ち掛けたところ、どうせならデュボワのピアノ三重奏曲1番、2番、そしてピアノ三重奏のためにかかれた「プロムナード・サンチマンタール」というオール・デュボワ・プログラムでやろうと逆提案されました。そこから、今回の演奏会の企画がスタートした次第です。

同じ作曲家の同じ楽器編成の室内楽だけだと、変化がないと思い、友人のソプラノに「オール・デュボワ・プログラムで、歌曲を歌わないか」ともちかけました。彼女はOKを出してくれたのですが、歌いたい曲を探す中でどうしても譜面のない曲があることに気づきました。そこで彼女は、フランスのテオドール・デュボワ協会の会長、テオドール・デュボワの曾孫さんに直接手紙を書き、楽譜を送ってもらったのです。それが、「牧人の歌」と「未熟な鳥刺し」の二曲です。

演奏会のプログラムは、まず、「プロムナード・サンティマンタール」「ピアノ三重奏曲第1番」。休憩をはさんで、ピアノとソプラノで、歌曲集「マルジョリーの歌」から「すみれ」と「鳥」の二曲、続いて歌曲集「古い小頌歌」から「牧人の歌」と「未熟な鳥刺し」の二曲を演奏。次に、ピアノ、ヴァイオリン、、チェロ、、ソプラノで「アヴェ・ヴェルム」を演奏し、最後に、ピアノ三重奏曲第2番で締めくくるというものでした。アンコールとして、趣向を変えて、プーランクのピアノ、オーボエ、ファゴットのための三重奏曲の緩徐楽章を、ピアノ、ヴァイオリン、チェロで演奏しました。

  
          ピアノ三重奏曲第1番                   歌曲「鳥」


  
           アヴェ・ヴェルム                   ピアノ三重奏曲第2番


二年後の2024年に、「テオドール・デュボワ没後100年記念コンサート」が日本の各地でできないだろうか。それが、夢になりました。日本各地で、その年の間の演奏会で1曲でもデュボワの曲を演奏してみようとお考えの方がおられたら、ぜひ下記のメルアドにご一報ください。

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