第8回カザルスホール・アマチュア室内楽フェスティバル
(1995年2月26日)



      

応募とコメント

最初は、「アマチュア音楽愛好家のお祭り」と考えていたので、誰でも参加できる気楽なものだと考えて応募しました。集まれるメンバーだけで、近所の集会所で弦楽四重奏曲を録音し、応募したのですが、見事落選。「音程から徹底的に洗い直す様に」「指導者について勉強するように」という厳しいコメントをいただきました。

そこで次の年は最も自信のある編成のピアノ三重奏で応募。曲目は、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第2番の第1楽章と、ベートーベンのピアノ三重奏曲第3番の第1楽章でした。そして、当時好きだった三重奏団、ウィーン・ハイドン・トリオにあやかって「神戸ハイドン・トリオ」と名乗ることにしました。これでダメだったら、我々はフェスティバルのレベルには届かないのだから諦めよう、と考えていたところ、合格通知が。いただいたコメントは次の様なものでした。

長谷川武久氏(音楽評論家) 集中力があり、聴いていてひき込まれます。ピアニストが特にすてきですね。いろいろやって、練れていくと更に良くなりそうで有望です。
三上明子氏(フルーティスト) 精彩を放つ演奏です。ピアノが立ちすぎる所があるので、共存するようにしたらどうでしょう。録音のせいかチェロが埋もれてきこえました。素敵なトリオなので実演に接したいものです。
今井信子氏(ビオリスト) 録音はピアノが強くてヴァイオリンが余り聞こえないのは残念ですが、皆さん室内楽に慣れていらっしゃり、よく聞く耳をもっていられるのがわかりました。アマチュアの良さを持った方達ですので、是非続けて頂きたいです。


阪神・淡路大震災

早速、よりよい演奏を目指して練習を開始。練習は、いつも通り、チェリストとピアニストの狭い自宅(団地)にコンセール神戸のコンマスが泊まりがけでやってきての練習。1月16日の練習が終わってコンマスが帰ったその日の夜中に、我々の住んでいる神戸で大震災が勃発しました。

幸いにも、みんな無事でした。近所のビルは倒壊しましたが、我々の団地は倒壊を免れました。コンマスの家も倒壊は免れました。しかし家の中はぐちゃぐちゃでした。震災の前日、練習のためにコンマスが宿泊していたため、いろんな家具を移動して寝る場所を作っていたのですが、そのおかげで、チェリストとピアニストの子どもは落下物から守られて、無事でした。ある意味で奇跡でした。

まだ電車が不通の状態で、カザルスホールに向かうことになりました。大阪で1泊し、それから新幹線で東京へ。神戸はまだ瓦礫の山なのに、大阪では以前と何もかわらない生活が営まれていて、たいへんショックでした。

カザルスホール

震災のため練習が出来ていないということで、たいへん優遇していただきました。前日にカザルスホールで練習室を貸していただき、練習できました。テレビマンユニオンの山本さん、ありがとう。

下の写真は、『legato』1995November に掲載された演奏中の写真。演奏曲目は、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第2番から第1楽章。スタンウェイのフルコンサートピアノと比べると弦楽器の値段が二桁も違うため、楽器の音量バランスがうまくいかず、ピアノの蓋をほとんどしめて演奏。しかしさすがカザルスホール。稚拙で音量のない弦もきれいに響いて大満足。

        

上右の写真は、「カザルスホール第9回アマチュア室内楽フェスティバル」パンフレットに掲載された写真。演奏が終わって、司会の小澤さんにインタビューを受けているところ。出演した第8回のフェスティバルが開催される直前に、阪神・淡路大震災が勃発。なんとか出演に漕ぎ着けたものの、たいへんでした。小澤さんの話題も自然と震災の話に。

懇親会

演奏がおわったあと、懇親会がありました。出演者は無料で参加出来ます。ACF出演からプロに転向した古楽合奏団コンセエル・ノヴァのゲスト演奏があり、楽しい懇親会でした。我々3名は、司会の小沢さんと親しく話をさせていただきました。そうした懇談の最中、「プレゼントがあります」、というアナウンスに一同きょとんとしていると、なんと、自分たちの演奏のCDが配布されたのです!!まさか自分たちの演奏がCDになるとは考えてもいなかったので、一同大喜び。今も我々の大事な記念品です。