第15回カザルスホール・アマチュア室内楽フェスティバル
(2002年2月17日)



応募とコメント

名古屋に転勤した<コンセール神戸>のコンマスが、第14回のACFを見に来てくれました。第8回に出演したときの感触が甦ったのか、話がとんとんと進み、今度はコンマスも含めてピアノ四重奏曲で応募しようということになりました。しかし三つの問題がありました。一つはビオラをどうするのかということです。この問題はすぐにクリア出来ました。タリヘーレ三重奏団のバイオリニストが「僕はハ音記号も読めるよ」と生意気なことをちょっと言ったので、すかさず、それじゃビオラを弾いて見ろ、ということになりました。もう一つの問題は、練習です。チェロ、ピアノ、ビオラは親子で、神戸在住。コンマスは結婚して名古屋在住。結局、名古屋から神戸にやってきて練習することになりました。三つ目の問題は、頻繁に名古屋から神戸にコンマスだけが来ると、コンマスの奥さんに申し訳ないということでした。これも簡単にクリアしました。というのは、彼女にフメクリストとしての役を演じてもらうことにしたため、二人で名古屋から来てもらうことになったからです。

応募する曲は、四重奏をするならブラームスの3番と決めていました。第1楽章と第2楽章を録音。ホールを借りて録音しました。第14回に出演したとき、「ACFは第15回まで決まっているがそのあとは未定である」と聞いていたので、最後になるかもしれないACFにどうしても出演したいという気持ちが強くありました。しかし、2年連続出演というのはいくらなんでも厚かましすぎるので、ダメだろうと思っていました。ところが、ラッキーなことに再びカザルスホールの舞台に立つことが出来たのです。

今回は15周年記念ということで、長谷川さん(バイオリン)、三上さん(フルート)、山崎さん(チェロ)と競演することも出来るということだったので、長谷川さんとの競演でシューマンのピアノ五重奏曲の希望も出しましたが、結局、ブラームスのピアノ四重奏曲第3番、第1楽章での出演ということになりました。

出演決定前のテープ演奏による審査でのコメントは以下のようなものでした。

長谷川武久氏(音楽評論家) たいへん楽しく聴けました。この調子でのびのびやって下さい。
三上明子氏(フルーティスト) 技術の足りないところを全員の一途な思いの伝わる音でカヴァーしているところに、大いに動かされました。
山崎伸子氏(チェリスト) ブラームスの重厚で熱い思いがあふれた作品がちゃんと表現され、充実した演奏でした。これはきっとこのグループのアンサンブルに対する想いが共感してこその演奏だと思います。これからもこの想いを失わずに続けていって下さい。それにしても哲理さん*、ハ音記号が読めるなんてスゴイですね・・・。
* 哲理さんとは、今回の演奏ではビオラに持ち変えた第一バイオリニストのこと。


カザルスホール

今回も、控え室はヴォリーズホール楽屋。フルコンが入っている部屋なので、大勢では使えず、最大限、ピアノ五重奏団が入れるくらいでしょうか。我々の演奏当日、ピアノを使う団体がもう一組あったのですが、そちらは人数が我々より多いために、ヴォリーズホール楽屋は、またまた我々の手に落ちることになりました。

リハーサルでは、最初ピアノの蓋を半分に閉めて演奏したのですが、担当の方が、なんと、「蓋を全開にしよう」と言うのです。びっくりしました。ついに、ピアノの蓋を全開にした演奏が出来るようになった!!と大喜びだったのですが、考えてみれば、ブラームスが偉いのですね。メンデルスゾーンのようにピアノがうるさいようには書かなかったということでしょうか?

リハーサルを終えた時、審査員の一人、三上明子さんとすれ違いました。すれ違いざまに「かっこいいですね」と声をかけられたのですが、いつも辛口のコメントをもらっているため、そのまま鵜呑みには出来ず、きっと「かっこいいですね、曲が」と言ったのだろうと納得して楽屋に戻りました。

前回もそうだったのですが、出番がゲストのお話の後。話の間、裏手で待っているのですが、その時間の長く感じること。「早く話終わってくれ!」と心で叫びながら、ひたすら出番を待ちました。


ピアノの蓋を全開しているので、弦の音が聞こえるのかたいへん不安でしたので、リハーサルの時にも、何度も、弦の音が聞こえますか?と聞く始末でした。しかし、「ピンが落ちてもその音が聞こえるホールだから」という返答。「さすが」としか言えませんでしたが、あとでビデオを見ると、弦の音も聞こえていて一安心です。

懇親会

懇親会で三上さんと話したとき、先ほどのリハーサル直後のことが話題となりましたが、「かっこいいですね」とだけしか言わなかったと三上さんが言明するので、我々一同は大喜びでした。そして、「ホールの響きを考えて演奏する必要」など、いろいろとアドヴァイスをいただきました。審査委員の一人・山崎伸子さんとは、今回初めてお話をさせていただきました。三上さん同様気さくな方で、「高揚した場面ではチェロはもっと動いて視覚的に見せることも必要だ」などのアドヴァイスをいただきました。

懇親会の始まる直前、2日前に出演したムジチーレン四重奏団の4人が会いに来てくれました。コンセール神戸のホームページの掲示板に書き込みをしてくれたことから名前は知ってましたが、始めての対面でした。会いに来てくれたことに、感激しました。また、同日の出演者であった<アンサンブル・ミューズ>の方々と親しく歓談できました。

なお、第16回ACFも開催されるそうです。日大に買い取られたわけですが、カザルスホールはどうなるのでしょう?どこかに移築されるのでしょうか?