東亜ホール

前回に続いて、今回も東亜ホールで行いました。このホールは、音の響きは良くはないのですが、ピアノが小柄で、弦とのバランスがとてもよく、ピアノの入った室内楽を演奏するには最適だと思います。規模も私たちにはちょうどで、椅子をめいっぱい並べると、180人程度が座れることになりますが、普通に並べて130−150席程度です。ホールのある階は、ホール専用なので、その点も好評でした。そしてなによりもそのロケーションがすばらしく、すぐに三宮ですので、演奏会終了後、買い物や食事なども十分に楽しめます。

今回は10月の3連休の真ん中での演奏会だったので、いろいろなイベントが目白押しで、あまり来ていただけないかも知れないと思い、当初80席だけを準備したのですが、結局椅子が足りなくなり100名を越える方々においでいただき、盛況のうちに終了することができました。本当にありがとうございました。

演奏曲目


「室内楽名曲の愉しみ」と銘打って行った今回の演奏会ですが、ドイツとフランスから名曲を1曲ずつ選ぼうと思いました。ドイツからは、ブラームスのピアノ四重奏曲第3番、フランスからはフォーレのピアノ四重奏曲第2番がすぐに決まったのですが、あと1曲、そんなに長くない曲はないのかと探していて、ベートーベンのこの曲に出会いました。ベートーベンが自身で編曲したピアノ四重奏曲は知っていましたが、オリジナルのピアノ四重奏曲があることは知りませんでした。ベートーベンが15歳の時に作曲した3曲のピアノ四重奏曲の中の3番目の曲。譜面を取り寄せてやってみると、とても素晴らしい曲であることを知りました。

最初にベートーベン、続けてブラームスを演奏し、15分の休憩の後で、フォーレを演奏しました。アンコールは、シューマンの「ピアノ四重奏曲」から第3楽章。ブラームスのピアノ四重奏曲第3番をするときは、アンコールでシューマンの四重奏曲の第3楽章をすると前から決めていました。というのも、どちらの曲の第3楽章も、愛を語る曲だったからです。ブラームスの第3楽章は、ブラームスがクララへの秘めた恋心を吐露したものと言われていますが、シューマンの第3楽章は、対象的にストレートに美しく愛を語っています。どちらもチェロのソロから始まり、バイオリンとチェロの掛け合いの後にビオラが出てくるという曲の書き方も同じであるのに、そしてどちらも美しいのに、愛情の表現がこうも違うのかと思われるほど音楽が違う。それを、演奏してみたかったのです。

次回は、コントラバスを入れて、シューベルトの「鱒」をやってみようかと思っています。